福知山線事故②~心の傷は今も~

『事故当初は歩いたり、笑ったり泣いたり、喜んだりすることさえ罪悪感を覚えました。
 友達はさりげなく遊びに誘ってくれ、家族は何も言わず私が事故の話をするまで待ってくれました。
 同じ車両の方とのメールも私を励ましてくれました。
 色々な人のサポートがあり、罪悪感や何とも言えないつらい気持ち、
 悲しい気持ちも薄らいできた気がします。』

『電車に乗ると、子どもたちに積極的に席を譲るようになった。あんな事故があると、
 やはり子どもは弱いと思うから、とにかく座らせたい。現場を通る時は
 「おはよう」と心の中で声をかけている。
 まだ、あの場所にさまよっている魂もある気がするから。』

『職場の同僚や大勢の人のおかげで元気に通勤を再開できた。
 事故当日は自分の乗った駅で「思いをつなぐ連絡会」が行うリボン配布を手伝いたい。
 みんなに、とにかく「ありがとう」を言いたい。』

4月3日付けの読売新聞に、事故で負傷された方のコメントが載っていた。
読売新聞が事故で負傷した乗客150人を対象に実施したアンケートでは、
回答のあった70人のうち25人が現在も通院治療を受けたり、自宅療養したりしている。
特に、損傷の激しかった1、2両目の乗客を中心に、今も後遺症をひきずる人は多い。

事故で「心の傷」を負った乗客(61人)は、
「回復した」(22人)、「少し回復した」(16人)など過半数に改善がみられるものの、
「車の多い場所を1人で歩けず、買い物にも行けない」
「事故のニュースを見ると、悲しみをコントロールできないこともある」などと訴える人もいる。
また、
「今回は助かったが、他の事故に遭って命を失い、家族を残すことになるのではと妄想にかられる」
 という人もいた。
左足骨折や顔面裂傷などを負った女性の場合、治療が長引き退職せざるを得なくなったが
「顔に傷が残り、再就職できるかどうか不安」と回答。
3両目で全身打撲を負った女性会社員は「精神的に不安になり、会社を休むことがある」
5両目に乗っていた女性会社員は、電車に乗らずに通勤できるよう転居した。
派遣社員契約を打ち切られ、電車への恐怖から再就職が難しいという男性もいる。
大学生からは
「3か月に及ぶ入院で友人関係に支障が出た」
「治療で単位が取れず、留年の恐れがある」などの訴えも寄せられたという。

JR西日本の安全向上の取り組みについては
「変わっていない」との回答が全体のほぼ4割の27人。
「ゆとりあるダイヤになった」「スピードを落としている」などとして、
14人は「良くなった」と評価した。
                              [Yahoo!ニュース・読売新聞・神戸新聞より]