福知山線事故④~これから~

JR西日本脱線事故後、「利益優先の経営姿勢が一因」との批判を受け、
民営化直後に制定された経営理念を全面的に見直した。
昨年9月から全社員へのアンケートなどを実施、
社外の有識者の意見も取り入れたうえで予定より3か月遅れで仕上げ、名称も改めた。

新理念は6項目からなり、尊い命を預かる責任と安全第一の姿勢を強調。
安全を支える土台として技術・技能を高める項目を新たに盛り込み、
企業倫理の向上や地域、社会に信頼される企業を目指すとした。
現行理念から「業務の効率化」「同業他社をしのぐ強い体質」など競争を意識させる文言や
「乗客を物のように運ぶ意識を変える必要がある」として「輸送」という言葉が消えた。

また、JR西日本は、事故の風化を防ぐための施設を設ける考えも示している。
6月に設置が決まっている安全研究所とは切り離した組織で、
事故車両など事故関連資料を保存・展示する。
遺族らにも公開する意向で、場所は「社員研修センター内が最適」とした。

最後に、JR西日本が4月1日に制定した安全憲章について触れておきたい。
この安全憲章には
「事故を決して忘れない」「安全の確保こそ最大の使命」とする前文が加えられ、
社員が乗車しながら救助に加わらなかった脱線事故の反省から、
本文5項目に新たに
「事故時には併発事故の阻止と乗客の救護がすべてに優先する」
との文言を盛り込まれた。
せっかくなのでこの安全憲章の全文を載せておきたいと思う。

安 全 憲 章
私たちは、2005 年4 月25 日に発生させた列車事故を決して忘れず、
お客様のかけがえのない尊い命をお預かりしている責任を自覚し、
安全の確保こそ最大の使命であるとの決意のもと、安全憲章を定めます。

1.安全の確保は、規程の理解と遵守、執務の厳正および技術・
技能の向上にはじまり、不断の努力によって築きあげられる。

2.安全の確保に最も大切な行動は、基本動作の実行、確認の
励行および連絡の徹底である。

3.安全の確保のためには、組織や職責をこえて一致協力しなけ
ればならない。

4.判断に迷ったときは、最も安全と認められる行動をとらなけ
ればならない。

5.事故が発生した場合には、併発事故の阻止とお客様の救護が
すべてに優先する。


ちなみに、旧国鉄時代には「安全綱領」という、内容の良く似たものが存在していた。
しかし、その第一項にはこう書かれていたという。

『安全は輸送業務の最大の使命である。』

この内容が民営化によって消え、
今回の事故が起こるまで消えたままになっていたのは残念でならない。
長々と堅苦しいことを書いてきましたが、JR西には自ら定めた安全憲章をもとに
安全第一でがんばってほしいですね。
[Yahoo!ニュース・読売新聞・神戸新聞JR西日本プレリリースより]